≪星の国から風だより≫ 第四回 2009年1月20日
皆様、明けましておめでとうございます。
日本では寒い毎日のようですが、当地シンガポールは朝晩「涼しいなー」という感じの冬です。日中は30度近くありますが、プールに入ると水は冷たく、子どもたちは震えながらスイミングをしています。日の出と日の入りは年中7時ごろですが、冬は日の出も多少遅くなるようで、子どもがスクールバスに乗る朝7時でもまだ暗く、月が出ています。
長年日本で春・夏・秋・冬の四季とともに暮らしてきた私は、「暑い冬」になかなか馴染めません。この時期には日本人で体調を崩す人が少なくありませんが、それはきっと体が冬を待っているのにちっとも寒くならないからなのでしょう。師走の実感も沸かないまま年末はだらだらと過ごし、大掃除も暑いとやる気が起こらず・・・(言い訳です)。気がついたら大晦日でした。日系スーパーで買った温州みかん(価格は日本の3~4倍!)を
ケチケチと食べながら、家族で紅白歌合戦を楽しみました。カウントダウンは2回、日本時間とシンガポール時間で行います(時差1時間)。この方法だと主婦でも年越しそばをゆっくり食べ、お風呂に入る時間もあるので結構気に入っています。
シンガポールでは陰暦の正月を祝うので、暦によって毎年祝日が変わります。今年は1月25日が大晦日、26日と27日が正月で祝日となります。普段は商売、商売と働き者のシンガポーリアンも、この時だけはゆっくり休日を楽しむようです。中華人が8割を占める当地では、中国正月となると大型デパートもショッピングモールも近所のスーパーも閉店や短縮営業となります。引っ越して初めての正月では食料品の買いだめをし損ね、ガラガラの冷蔵庫のまま不自由な2,3日を過ごすことになってしまいました。それ以来、旧正月の間はホテルで泊まることにしています。
先日1月10日には日本人会館でもちつきが行われました。日本人会は一年を通して季節に応じた伝統的なイベントを企画してくれます。会館の入り口には門松が飾られ、ロビーには大凧が上から吊るされて正月ムード満点。そこでもちつきの実演です。整理券を持っている子どもたちも順番に並んで餅をつきました。日本では餅つき機でついた餅を丸めていましたが、シンガポールという外地で昔ながらの臼と杵での餅つきを見られるというのも不思議な感じです。海外だからこそより強く感じる故郷への思いがあるのでしょうか。
その日はさらに、お餅を買った人全員に青森県のりんごが1個ずつプレゼントされました。日本産のりんごは価格が高いのでなかなか買えない高級品です。大切に冷蔵庫で保管し、先日ついに食べることにしました。割ってみたら蜜が入っていて、食べたら甘い香りが口一杯にひろがりました。子どもたちは我先にと食べ、「やっぱり日本のりんごはおいしいねー!」と満足げな表情です。傷ひとつないりんごは農家の人が大切に育てたものに違いありません。また、そのりんごをはるばる暑いシンガポールまで運んでくれた人たちの姿を思い浮かべ、有難く思いました。以前は当たり前だと思っていたことに感謝できる今の生活、つい足りないものに目が行きがちですが、実は得ているものも多い海外生活なのかもしれないと感じました。
4.暑いお正月に感謝関連ページ
- 星の国から風だより
- シンガポールという国、皆さんはどのくらいご存知でしょうか。
- 2.出稼ぎ労働とメンタルヘルス
- シンガポールには出稼ぎ労働者が多く住んでいます。人口459万人のうち約100万人が海外から働きに来ている外国人ですが(かくいう私の夫もその一人)、今回はある外国人労働者に起こった悲劇についてお話します。
- 3.闘病からの気づき
- アメリカに端を発した世界金融危機の波はここシンガポールにも押し寄せ、バブル景気に沸いていた市場は一気に冷えこみ始めました。年々上がる一方だった住宅価格も下がり始め、好景気を見込んで高級コンドミニアムを購入した人々は多額の負債を抱え込んだようです。 昨年この国がバブルに浮かれているとき、私は一人の女性に出会い、改めて人生の価値は財産ではないことに気づかされました。今回はその女性についてお話します。
- 5.ママ友の闘病体験
- 乳がんを患った友人Tさんの講演会についてご報告します。
- 6.ホストマザーに学んだ人生
- 今回は3月に訪れたアメリカで感じたことをご報告します。
- 7.マイケル・ジャクソンを悼む
- マイケル・ジャクソンの訃報が世界を駆け巡りました。史上最も成功したエンターテイナーとしてギネスブックに認定されたほどの功績を残したマイケルですが、その私生活は訴訟、ゴシップ、離婚、処方薬依存と波瀾に富んでいました。
- 8.グリーフワーク講座
- シンガポール日本人会厚生部主催でグリーフワークの講座をおこないました。
- 9.私流アンチエイジング
- エイジング(加齢)について真面目に考え始めました。きっかけは先般のグリーフ講座で資料として使った竹内まりやさんの「人生の扉」という歌です。
- 10.「小さな家」から学んだ大きな幸福
- 昨年から私の心を捉えているある子ども文学についてお話します。